女性の薄毛の名前・呼び名・種類(症状) 違いは?

女性の薄毛の呼び方分類:女性男性型脱毛症(FAGA=Female Androgenetic Alopecia)、女性型脱毛症(FPHL=Female Pattern Hair Loss)、びまん性脱毛症、休止期脱毛症、急性休止期脱毛症、産後脱毛症、分娩後脱毛症、慢性休止期脱毛症(CTE=Chronic Telogen Effluvium) 女性薄毛関連の記事
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女性の薄毛症状の名前をわかりやすくご説明いたします。女性男性型脱毛症(FAGA)、女性型脱毛症(FPHL)、びまん性脱毛症、休止期脱毛症(産後脱毛症)など、自分がどれなのか、またどう違うのかがはっきりしませんよね。当コラムですっきりと把握しましょう。

女性の薄毛の名前を整理
~医療機関によって呼び名が違う~

混乱する女性 女性の薄毛の呼び名の多さ

女性の薄毛症状に関する呼び名はいくつかあり、きっちりと統一されていないのが実情です。近年最もよく耳にするのが「FAGA(Female Androgenetic Alopecia)=女性男性型脱毛症」という言葉で、これをもう少し正しく置き換えた言葉に「FPHL(Female Pattern Hair Loss)女性型脱毛症」というのがあります。

また、以前から長く使われてきた言葉としては「びまん性脱毛症」という呼び名があり、これとは別に近年「休止期脱毛症」という言葉も専門家の間ではよく言われるようになっています。

少しややこしいので、整理しておきましょう。

FAGA/FPHLとは?
~性差で薄毛を分類した表現~

FAGA(女性男性型脱毛症)、FPHL(女性型脱毛症)
薄毛症状を女性にフォーカスさせたいときの括りとして、近年「女性男性型脱毛症(FAGA)」という言葉が広くクリニックのコラムなどに登場しています。これは「男性型脱毛症」の女性版といった角度から切り込んだ表現に過ぎず、あまり厳密な意味で正確ではありません。

というのも、メカニズム的には女性の薄毛は男性の薄毛ほど明確なプロセスが特定されておらず(というよりも、原因が人それぞれで一括りにできない側面が強く)、「Androgenetic Alopecia(=男性ホルモンによる薄毛)」という言葉に無理やりFemaleくっつけても、因果関係と実態とが必ずしも合致しないケースが少なくないからです。

Female Androgenetic Alopeciaは、(女性の男性ホルモン系の脱毛症)という形になり、女性にも男性ホルモンは存在するものの、それが薄毛を牽引している主要な要因と言い切れない側面があります(男性ホルモンが関与していることも多分にありますが、そうとは言えそうにないケースもまた多くあります)。

ただし、FAGA(女性男性型脱毛症)という言葉は脳内整理しやすいためか、もはやある程度市民権を得た表現になってしまいました。このため、医療機関でも細かな説明は端折り、そこに乗っかりつつ「FAGAの治療」という表現が使われることも少なくありません。

しかし、これに気持ち悪いと感じる医師もやはりおられるためか、「FPHL(Female Pattern Hair Loss)=女性型脱毛症」と案内したり、「FAGA(女性男性型脱毛症)/FPHL(女性型脱毛症)」と並列で表記するようなことも多くなっています。

また、「日本皮膚科学会」が定期的に更新するガイドラインに登場する言葉が関係者の間での使用に影響を与えている側面もあります。

これらは、端的に言うと、「男性型脱毛症(AGA)との関連性も想定される女性に起こる脱毛症(薄毛症状)である」ということを表しているだけです。厳密な意味での薄毛メカニズムや、正しい原因などを内包している表現とは言いにくいです。少し乱暴な言い方になりますが、「性差による分類表現」と捉えてしまっても問題ないでしょう。

びまん性脱毛症とは?
~薄毛症状の現れ方に着目した表現~

びまん性脱毛症 Diffuse Alopecia

びまん性脱毛症とは、女性の薄毛症状の実態や特徴に着目した表現です。普段「びまん性」という言葉はあまり耳にしませんが、これは「広くまんべんなく」という意味合いになります。つまり、部分的な薄毛や部位的特徴はあまりなく、むしろ「広範囲でまだらに薄毛になっていく脱毛症状」に対してこの言葉が当てられます。

特に男性との対比で言うと、「側頭部の毛も他と大差なく薄毛傾向があるのか?」がポイントになってきます。女性の薄毛症状は、「髪の全体的なボリューム低下」や、「局所的な偏りなく1本1本の毛が細くなり、ハリやコシがなくなっていくような症状」が多いです。

髪がペタンとなって分け目部分で地肌が透け、これがクリスマスツリーのように…」と案内されることも多いですが、その状態にあるときでも「全体的な軟毛化(弱々しい毛になること)」が並行していることがほとんどです。

よって、特に医師がその女性の薄毛症状の現れ方に着目している場合は、「びまん性脱毛症」と診断するケースが多いでしょう(もちろん、これをざっくりとFAGAと切り分ける医師もおられます)。

休止期脱毛症とは?
~薄毛症状の現れ方に着目した表現~

休止期脱毛症のヘアサイクル ステージの偏り分布(円グラフ)

薄毛関連のクリニックの中には、「休止期脱毛症」という言葉を用いるケースもあります。これは、「抜け毛が多くなってしまうメカニズム」に着目した表現で、ある意味では医学的な捉え方と言えます。髪が薄くなる理由は、「抜ける量>生える量」というのが皆の知るところですが、これをもう少し掘り下げると「ヘアサイクルで休止期に移行する髪の毛が増えるから」と整理することができます。

ヘアサイクルの図
ヘアサイクルで休止期が多くなる理由は様々なものが考えられます。よって、一概に「これが原因!」と言い表している表現にはなっていません。それでも、本来「成長期」にある毛髪でさえ多くが休止期へと偏ってしまい、結果として薄毛をもたらしてしまっているとき、「休止期の毛髪が増えている」というヘアサイクルに着目して「休止期脱毛症」という表現を使います。

円グラフでお示ししたように、一般的には正常な毛髪であれば生えている全体用の85%が「成長期」、残りの15%程度が「退行期」や「休止期」を合わせたものになります。これが、極端に「休止期」の側へと偏っていくため「休止期脱毛症」という言葉が生まれたのですね。

実は、男性のAGAの場合についても、DHTの影響の出方を見れば「休止期脱毛症」と言えなくないです。ただ、男性の場合はもう「AGA(男性型脱毛症)」と案内するのが基本になっていますので、現在この「休止期脱毛症」は女性の薄毛に対して使われる表現になっていると考えておいても良いでしょう。

逆に言うと、「理由ははっきりと言い当てられないけれど…」という幾分もやっとした命名だとも考えられ、それだけ女性の薄毛原因は多様だと見ることもできます。そのようなこともあり、何とも安定しないまま、女性の薄毛についてはいくつかの表現が混在した状態になっているのです。

ただ、このまま「休止期脱毛症です」と案内していると、意味が分かっている人の脳内では「抜け毛が増えているのだから、休止期が多いのは当然でしょ…」と感じる人もいるはずです。このためか、こちらを更に時間軸に沿って分類する表現があります。

急性休止期脱毛症(産後脱毛症・分娩後脱毛症も該当)

産後脱毛症、急性休止期脱毛症、分娩後脱毛症
女性で良く耳にする産後脱毛症は、「急性休止期脱毛症」と言われたり、「分娩後脱毛症」などとも呼ばれます。これは、女性ホルモンのエストロゲンが妊娠期に急増化して発毛量が増え(一時的に毛深くなり)、出産後に一気に元に戻ることでヘアサイクル上で「休止期」への偏りが起こるためです(反動で抜け毛の量が増えます)。このように、時間軸で捉えて「急激な変化」が認められるとき、「急性休止期脱毛症」と言われるケースは少なくありません。

一般的には、出産して半年~1年程度もすれば概ね元に戻っていくとされますが、出産後はそれまでの生活リズムが一変することも多いです。この関係で人によってはなかなか良くならないケースも見られますので、生活習慣や栄養バランスを整える意識が大切になります。長引く場合には医師に相談するなど、慌てずに対応すると良いでしょう。

なお、「急性休止期脱毛症」は、産後でなくても起こるケースもあります。この場合は個々の原因に合わせて対処していくことになります。

慢性休止期脱毛症(≒びまん性脱毛症)

「急性の休止期脱毛症」と対になるものとして、「慢性休止期脱毛症」という言い方もあります。こちらは、先に登場した「びまん性脱毛症」と中身としては同義です。一般的には6ヶ月以上に渡り持続してしまう慢性的な休止期脱毛症を「慢性休止期脱毛症」と分類しているようです。英語ではchronic telogen effluviumとなり、CTEと記載されるケースもあります(正確には Chronic Telogen Effluvium Alopecia だと思いますが…)。

どちらかと言うと、「ゆっくりと、しかし揺るぎなく薄毛症状が持続しているとき」に時間軸を強く意識していれば「慢性休止期脱毛症」という表現を用い、医師目線で捉えたときに「まだらな薄毛症状の拡がりが強く意識されるとき」には「びまん性脱毛症」という言葉が選ばれることが多いです。中身としては同じ症状と整理しておいてもよいでしょう。

女性の薄毛の名前・分類(まとめ)
~多様な表現は原因特定の難しさ~

当記事では、世にはびこる?「女性の薄毛の名前(呼び方)」について整理させていただきました。簡単ではございましたが、ある程度すっきりと全体像を把握できたのではないでしょうか。

改めて、登場した「女性の薄毛症状の呼び名」を整理しておきます。

女性の薄毛呼び名
FAGA(女性男性型脱毛症)/FPHL(女性型脱毛症)
「男性ではない女性の薄毛」に着目した表現
びまん性脱毛症
「薄毛症状の現れ方(薄毛エリアの広範性)」に着目した表現
休止期脱毛症
「薄毛メカニズムのヘアサイクル」に着目した表現
急性休止期脱毛症(=産後脱毛症分娩後脱毛症
「短期的な時間軸」で休止期脱毛症を整理したもの
慢性休止期脱毛症(≒びまん性脱毛症)
「6ヶ月以上持続する継続性」に着目して休止期脱毛症を整理したもの

診察を受ける身としては、「同じものを別の表現で説明してほしくない…」のが本音だとは思います。とは言え、それだけいろいろな見方があるということになり、原因も多彩であるため致し方ないと言えそうですね。

ただ、だからと言って「やっぱり人それぞれなのね…」で放置してしまうのは問題で、見過ごしていると薄毛症状を悪化させてしまう懸念があります。女性の薄毛原因については、かなり丁寧にこちらのコラムで案内しています。絡み合った背景事情を解きほぐせるような内容ですので、ぜひご参照ください。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。医療機関での具体的な治療については、女性の薄毛をオンラインで対応いただけるクリニックフォア(女性)がおススメです。併せてご参照ください。

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