プロペシアの副作用リスク、注意事項と発生頻度の目安や影響

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男性型脱毛症のAGA治療薬として有名な「プロペシア」の副作用リスクについてご紹介します。こちらは後発ジェネリック医薬品の「フィナステリド錠」の場合にも同様の影響が考えられます。薄毛治療薬を服用してみたいけれど心配だという方、ぜひご確認ください。

プロペシア(フィナステリド)の副作用
~3項目で副作用を整理し+α1に注意!~

「プロペシア(標準製剤)」やそれと生理学的影響が同等と評価される「フィナステリド錠」については、主な副作用として「性機能への影響」が知られています。その他にも、「かゆみ等の過敏症」や、「肝機能への影響」も考えられます。影響度は最大値を取っても被験者の5%未満と案内されています。この点を押さえた上で、AGAのスタンダード治療薬「プロペシア(あるいはフィナステリド)」の副作用をご確認ください。

1.生殖器に関する副作用

プロペシア副作用 男性機能への影響(性欲減退、勃起不全など)※画像は単なるイメージです。副作用を不必要に印象付けるような意図はございません。

まず、AGA治療薬の服用を考える際によく心配される「男性機能への影響」についてご紹介します。具体的なところでは次のようなものが挙げられます。

男性機能に関する副作用

性欲の低下(リビドー減退)、勃起機能不全(ED)、射精障害、精液量の減少、睾丸痛、血精液症、男性不妊症・精液の質の低下(濃度減少、無精子症、精子運動性低下、精子形態異常など)

確率論で言えば性欲減退(リビドー減退)は1~5%未満、勃起機能不全(ED)や射精障害、精液量の減少は1%未満と報告されています。また、その他の睾丸痛や、精液に血液が混じる血精液症、男性不妊症や精液の低下に関するものは「頻度不明」と評価されるレベルの極低い数値となっています。(プロペシアの添付文書(ORGANON)の臨床試験データより)。

最大値の「性欲の低下」であっても5%未満ということなので「かなり低い割合」と考えて差し支えないでしょう。ただし、このような影響は実際に可能性としては存在しています。また後に「4項目め」でご案内しますが、服用の中止後もネガティブな影響が続くといった報告もあります。

特に妊活中のカップルについては、どのタイミングで服用を開始すべきなのか、あるいは服用を見合わせるのか…など、十分にご検討ください。

最悪、ED治療薬のダブル服用で対応も!?

クリニックで事前カウンセリングを受けていると「もしも男性力で影響が出れば、ED治療薬を併せ飲むことも可能です」と案内されるかもしれません。もちろん、EDになることを前提に薄毛対策を講じる人はいないとは思いますが、もしも服用していくなかで「薄毛は解消された!だが男性力が…」という場合、AGA治療薬の服用を止めるに止められないかもしれません。

そういう場合は、一応このような方法も検討できると、念のため頭の片隅に置いておいてください。ED治療薬は「バイアグラ」だけでなく、「レビトラ」や「シアリス」などもあり、以前よりもお食事制限などの影響が低くなってきています。AGA治療薬を出しているクリニックで、別の診療科目としてED治療を行なっている場合も少なくありませんので、一つの知識として持っておくと良いでしょう。

2.過敏症に大別される副作用

AGA治療薬 過敏症 痒み 発疹など※画像は単なるイメージです。副作用を不必要に印象付けるような意図はございません。

「過敏性」とカテゴライズされるものについては、全て頻度不明と案内されるレベルの比較的小さなものです。具体的に「お薬の添付文書」に記載されている文言は以下のようなものです。

過敏症に関する副作用

そう痒症、じん麻疹、発疹、血管浮腫(口唇、舌、咽喉や顔面腫脹など)

痒みや発疹、むくみなどは人によって症状が出やすい方もおられると思います。頻度不明レベルのものであっても影響が出やすい人はある程度自己認識できていることでしょう。健康被害に直結するものではありませんが、一部そのような影響が出る場合もあることを理解した上で服用をご判断ください。

影響が懸念されるような比較的敏感な方の場合、治療薬の処方をお願いする際には少し安くなるような「まとめ買い」を避け、とりあえず最初は1ヶ月分だけのお薬を出してもらい、様子を見ながら継続を考えると良いでしょう。安価なもの(海外製のフィナステリド錠)を選んだ場合、クリニックでも概ね月3,000円~5,000円程度で単月分処方が可能です。

G.グリーンクリニック

含有成分に対して「過敏症」既往歴があるなら服用NG

プロペシア錠に含まれている有効成分のフィナステリドや、含有する添加剤に対して既に過敏症の既往歴がある人については、こちらのお薬を服用できません。「5α還元酵素阻害薬」である男性脱毛症薬は毎日1錠服用することを基本としています。既に過敏症が出るとわかっている場合にはどう考えても継続は難しいので、諦めて別の対策を講じるしかないでしょう(考えられる方法は外用薬やメソセラピーあたりでしょうか…)。

お薬の成分と添加物

フィナステリド(0.2mg/1mg)、結晶セルロース、乳糖水和物、部分アルファー化デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、ジオクチルソジウムスルホサクシネート、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、酸化チタン、タルク、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、カルナウバロウ

後発のジェネリック医薬品である「フィナステリド錠」については、複数の製薬会社で発売されています(約10種類ほどあります)。添加剤については多少違いがあるものの大差はないと考えられるため、プロペシアでダメだった場合はおそらく後発ジェネリックの「フィナステリド錠」でも厳しいことが予想されます(絶対とは言い切れませんが…)。上記のものは本家「プロペシア錠(MSD社)」に含まれている成分です。一つの目安にしていただければと思います。

3.肝臓に関する副作用(影響と負担)

薬が与える腎臓への負担※画像は単なるイメージです。副作用を不必要に印象付けるような意図はございません。

口から服用して体内に取り入れたお薬については、肝臓で分解されて代謝されます。このため、どのようなお薬であれ、経口薬であれば基本的に肝機能に負担を及ぼします。元々肝機能障害がある場合については「服用すべきでない」と判断されるケースも出てきます。心当たりのある患者さまは、必ず医師にご自身の症状をご説明の上服用の可否を仰いでください。

プロペシアの「お薬添付文書」には、肝機能への影響として以下のような表記があります。

肝臓に関する副作用

AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇

何だかよくわからない名前が並んでいますが、気になる方もおられると思いますので少し丁寧に説明していきましょう。

AST(=GOT)」はグルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ、「ALT(=GPT)」はグルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ、「γ-GTP」はガンマ・グルタミル・トランスフェラーゼと呼ばれるもので、いずれも肝臓および肝臓周辺に存在する酵素の名前です。人間ドックなどで肝機能を調べる際によく登場するもので、見たことがある方もおられると思います。

「AST」の方は肝細胞だけでなく心筋や骨格筋、赤血球の中にも含まれ、「ALT」は主として肝臓の細胞の中にだけ存在しています。「γ-GTP」は厳密には「胆管(たんかん)」で作られるそうです。肝細胞胞が破壊されると血液中にこれらの酵素が多く放出され、その濃度に変化が見られます(血中濃度が高くなります)。よって、肝機能を調べる場合にこれらの数値を測定して分析しているというわけです。

肝臓によるお薬の代謝(解毒消化)を整理

薬と肝臓の代謝 内服薬の吸収や代謝の順序

既に少し触れたように、口から服用する内服薬は「胃」で表面が溶かされ、「小腸」での吸収を経て解毒器官である「肝臓」に繋がる「門脈」に入り込みます。門脈から「肝臓」に辿り着いた後はある程度薬効や毒性が取り除かれ、その後に血流に乗って全身を巡っていくことになります(ここで薬効が弱まる分が計算されて各薬理成分が配合されています)。

各体内部位を巡り作用部位にて効能を発現させつつ、循環しながら常時「肝臓」で薬物代謝酵素の作用を受けて分解されます(この関係で、お薬の作用は次第に弱まっていきます)。その後は血液のろ過機能を果たす「腎臓」を通過して膀胱へと流れ、最終的に尿として排出されてお薬の成分はその役割を終えます。

簡単にイラスト内にポイントを書き込んでおりますが、改めて文字化して時系列で整理すると以下のようになります。

内服薬(錠剤)の代謝の順序
  • Step.1
    お薬を口から服用
  • Step.2
    胃でお薬の表面コーティングが溶解(一部吸収)
  • Step.3
    小腸
    小腸でしっかりとお薬の成分が吸収
  • Step.4
    門脈
    肝臓に向かう「門脈」という血管にお薬成分が流入
  • Step.5
    肝臓
    肝臓である程度薬理成分が代謝(解毒)
  • Step.6
    循環
    血流に乗って全身を循環し、要所要所で成分効果を発揮
  • Step.7
    肝臓
    薬物代謝酵素の作用を受けて分解(代謝)も継続
  • Step.8
    腎臓
    血液ろ過装置としての腎臓に到着
  • Step.9
    膀胱
    腎臓でろ過されて尿管を通り膀胱へ終着
  • Step.
    尿
    尿として排出されお薬の役割が終了

錠剤タイプの飲み薬で口から服用したものは通常このような流れを辿りますので、基本的に「服用する以上は肝機能に負担をかける」ということになります。

「薬を飲む」ということは、肝機能に少なからず負担をかけるという点は押さえておきましょう。

上述した副作用リスクの「AST値」「ALT値」「γ-GTP値」の上昇は、肝機能が働いている証のようなものなので当然と言えば当然の反応と考えられます。

とは言え、「毎日1錠服用し続けること」が基本となるAGA内服薬(プロペシア、フィナステリド、ザガーロ、デュタステリドなど)に関しては、それを習慣化する以上は持続的な負担となっていきます。特に、Ⅱ型だけでなく、Ⅰ型の「5αリダクターゼ」にも阻害力を発揮する「ザガーロ(デュタステリド)」については、プロペシア系(フィナステリド)と比べてなかなか薬物の作用が代謝されないことが薬物動態試験により明らかになっています(つまり、肝臓にとっては負担が大きくなります)。

「ザガーロ(デュタステリド)はⅠ型にもⅡ型にも効くから良い!」と無責任に案内されるケースも少なくないですが、都合の良い情報ばかり前のめりに吸収してしまうのは危険です。元々肝機能に障害がある場合には、重大な健康被害に繋がる可能性も十分に想定されますので、心当たりのある患者さまは医師によく相談するようにしてください。

4.ポスト・フィナステリド・シンドローム(PFS)

ポストフィナステリドシンドローム, ポストフィナステリド症候群 PFS フィナステリド服用中止後の副作用継続症状

ポストフィナステリドシンドロームに関しては、MSD社の「プロペシア錠の添付文書」には具体的には記載されておりません。それでも、世界で多くの男性にプロペシア(フィナステリド錠)が使用されていく中、「フィナステリド成分のネガティブな影響(副作用)が服用中止後も持続した」との報告が出るようになってきました。

このことを受け、米国のジョージワシントン大学の研究チームが調査を行ない、「PFS」という言葉が徐々に知られるようになってきました。つまり、PFS(ポストフィナステリドシンドローム)とは「フィナステリド系AGA治療薬の服用中止後であっても、副作用的な影響が持続してしまう症状のこと」を指します。

このようなことから、「MSD社の」添付文書の方にも現在では生殖器関連の副作用の項で「リビドー減退」「勃起機能不全」「射精障害」に対して※注1)と記載し、「市販後において、投与中止後も持続したの報告がある。」と明記することでその影響リスクを示すようになっています(赤文字表示などはありませんが…)。

具体的なPFSの症状については、独自調査を実施した米国のジョージワシントン大学の論文資料の中で以下のように案内されています。

調査実施の対象者
└21歳~46歳の71人の男性
フィナステリド使用期間
└平均使用期間28ヶ月
フィナステリド使用中止後の調査結果
└性欲低下(94%)、勃起不全(92%)、覚醒低下(92%)、オルガスムの問題(69%)
持続的な性的副作用の平均期間
└フィナステリドの中止時から面接日までの40ヶ月間(約3年半)

参考資料:Persistent sexual side effects of finasteride for male pattern hair loss
(出典元HP名:The National Center for Biotechnology Information)

このような指摘を見ると、「とりあえず飲んでみて効果なければ止めればいいか…」という安直な判断では後悔に至る可能性も考えられます。とは言え、男性の薄毛化を抑制できる「AGAスタンダード治療薬」を避けるとなると、遺伝傾向次第によっては着実に薄毛化が進行します。

プロペシア(フィナステリド錠)」を抜きにした薄毛対策となれば、壮年性脱毛症を対象にしたややポイントがズレている「ミノキシジル外用薬(発毛剤)」か、幾分効能が不明瞭でそこそこ高額な「AGAメソセラピー」か、あるいはかなりの治療費と覚悟を要する「自毛植毛」しかなくなってしまいますね…。いずれもやや選択しにくい事情が考えられます。よって、やはり医師にしっかり相談することを前提に「5α還元酵素阻害薬」と付き合っていくという方向性は残しておいた方が良いように映ります。

少し不安だという場合については、とりあえず「プロペシア錠(フィナステリド錠)」でスタートするにしても、「1mg錠剤」ではなく「0.2mg錠剤」でスタートするという様子見作戦も考えられます。石橋を叩いて渡りたい慎重派の患者さまは、そのあたりも含めてよくご検討ください。

では、とりあえずネガティブな影響としての「副作用」のまとめについてはここまでになります。次は「取り扱い」に関する注意事項を見ていきましょう。

お薬の「取り扱い」に関する重要事項
~女性や子どもは服用不可!~

男性限定 女性は服用禁止 AGA治療薬 プロペシア(フィナステリド)
プロペシアやフィナステリド錠は、成人男性向けのお薬です。女性に対しては効果が認められていません。「女人禁制」のように時代に逆行する文化があるわけではありませんが、プロペシアがその産出を抑制することになる「DHT(ジヒドロテストステロン)」は男児の生殖器形成に大きな役割を果たすと言われています。

DHTは「成人男性の薄毛化(ヘアサイクルの弱体化)」という点においては男性陣に悪者扱いされていますが、実は男性が男性として確立されるまでにはなくてはならない男性ホルモンでもあるのです(なんだか少しかわいそうな存在に思えてきますね…)。

このようなことと関係し、妊娠中の女性や授乳されている女性がその有効成分を体内に吸収してしまうと、男子胎児の生殖器の発育形成に悪影響をもたらす可能性があります。妊娠しているかもしれない女性も同様の注意を要します。これは、お薬の添付文書にかなりはっきりと「禁忌(きんき)事項」として掲載されています。

未成年の男子においても少なからず同類の影響が懸念されるため、服用可能なのは「成人以降の男性」ということになります。20歳未満の男性に対する有効性や安全性は確立されていませんので、「脱毛施術の低年齢化」のような先走りにもご注意ください。

プロペシア錠剤は割らずに服用すること

プロペシア錠1mgの外形、サイズ
「プロペシア」や「フィナステリド錠」のお薬(錠剤)は、有効成分が直接皮膚吸収されてしまわないように外形がコーティングされています。このため、通常は「割れていないもの」「砕けていないもの」については触れても有効成分が吸収されてしまうことはありません。ただし、小さな錠剤の外観(欠けなど)は一目で確認できるものではありませんので、女性や未成年の男子は「プロペシア」や「フィナステリド錠」に触れないような意識で接してください。

成人の男性で自分が服用する場合においても、家族が知らずに触ってしまうとリスクに晒されてしまいます。自分用であっても家族がおられる場合は、必ずご家族の方にも注意喚起し、自己管理を離れる場所に保管しないようにご調整ください。

厚生労働省のWebページでも、プロペシアの取り扱いについては厳重な注意喚起をしています。それだけ明確に「5α還元酵素阻害薬」はその機能を発揮するということなのかもしれません。気になる方は厚生労働省のWebページも目を通しておかれると良いでしょう。

5α還元酵素阻害薬(フィナステリド,デュタステリド)の働き,効能,作用

参考:プロペシア(PROPECIA)(男性型脱毛症用薬)に関する注意喚起について(出典:厚生労働省)

前立腺がん検診(PSA検査)への影響!?
~血清前立腺特異抗原の濃度が低下?~

前立腺の位置 イラスト

国内での臨床試験結果(24歳から50代のAGA患者)において、「プロペシア」の服用後に「血清前立腺特異抗原(PSA」の濃度が約40%低下したという事実があります。海外のフィナステリド錠剤の治験では、前立腺肥大症患者(高年齢層)の血清PSA濃度が約50%低下したとの報告もあります。

「血清PSA濃度」と言われても何のことかピンと来ない方が大半だと思いますが、まずは「前立腺」の位置を上図で確認していただき、こちらの「血清PSA検査」について消化していきましょう。

PSAは「前立腺特異抗原」と呼ばれるタンパク質

PSA(Prostate-Specific Antigen)とは前立腺から分泌される「前立腺特異抗原」と呼ばれるタンパク質のことで、ネバネバの精液をさらさらにして精子の運動性を向上させる働きなどを担っていると言われています。このPSA(前立腺特異抗原)が血液中にどの程度存在するかを評価するのが「血清PSA検査」と言われるもので、「前立腺がん」の検診で実施されます。

健康な男性の場合、このPSAは血中に微量しか放出されず、前立腺がんになった場合や、前立腺肥大症、前立腺炎、排尿障害などがあるとこの数値(濃度)が上昇します。これは、前立腺の腺管内に閉じ込められているべきPSAが前立腺構造の変化によって血中に放出されると考えられているためです。話がやや奥まってしまいましたが、このようなものが前立腺がんの「血清PSA検査」だと捉えておいてください。

プロペシア服用中は「PSA濃度」が大きく低下する…

既に触れたように、プロペシアやフィナステリドを服用していると、血清PSAの濃度が約半分近くにまで低下することがわかっています(臨床試験の結果から血清PSA濃度が40%~50%程度に低下したとのデータが「プロペシア販売元MSDのお薬添付文書」に記載されています)。つまり、PSAが血中に放出されにくくなるため、PSA成分が前立腺の管内に残りやすくなっているのかなと推測できます。

ただし、前立腺により多く残存することになるであろうPSAが、そのまま「精液中のサラサラ度(=運動性)」を上げてくれるのかと言えばそうでもなさそうです。わずかとは言え副作用として「精液の質の低下」が記録されていますので、むしろ精液への流入も減ってしまっているような印象を受けます(では、PSA成分はどこに行ってしまうのだろうという疑問が残りますね…)。

いずれにしましても、プロペシアを服用することで事実として「血清PSA濃度の低下(概ね半減)」が生じるようですので、お薬の服用患者さまが「前立腺がん診断」を受ける場合については、血清PSA濃度が低下することを加味し、検査結果数値を2倍程度に置き換えて評価することが求められます。患者さま本人がこの数値を細かく把握している必要などは当然ございませんが、「前立腺がんの検診」を受ける場合については「自分がプロペシア(もしくはフィナステリド錠)を服用していること」を医師などに報告するようにしてください。でないと、前立腺がんの評価測定を見誤ってしまう可能性があります。

こちらは副作用というような直接的な懸念事項ではありませんが、認識しておくべき気になる内容でしたので、少し掘り下げてご案内させていただきました。なお、「2倍程度にして検査評価すべき」との案内はこちらで勝手に判断しているものではなく、もちろん「添付文書(プロペシア錠)」にその旨記載があります。念のために付け加えておきます。

本剤投与中の男性型脱毛症患者に対し前立腺癌診断の目的で血清PSA濃度を測定する場合は、2倍した値を目安として評価すること。

出典:プロペシア錠 添付文書(PDFデータ)ORGANON

プロペシアは多くの男性を救うお薬!
~でも、副作用にはご注意を♪~

当コラムでは、プロペシア(フィナステリド)の副作用についてご紹介し、関連事項として「お薬取り扱い時の注意点」や「目に見えていない体内での変化」についてもご案内させていただきました。基本的には「お薬の添付文書」に記載されている内容ではありますが、専門的な内容も多く明記されているため、少し噛み砕いでご紹介させていただいたつもりです。

もう一度ポイントをおさらいしておきましょう。

当コラムのポイント
  • プロペシアやフィナステリドは、お薬なので副作用はある
  • 副作用は「生殖器に関するもの」、「過敏症に関するもの」、「肝機能に関するもの」に大別できる
  • 副作用が生じる可能性は比較的低く、最大で被験者の5%未満というデータがある
  • ただ、一方で多くの服用者がフィナステリド服用中止後でさえ、長期的に男性機能へ影響が出たとの調査報告もある(PFSの可能性も理解すべきである)
  • 肝機能の持病がある場合は服用は難しく、健康体であっても少なからず肝臓に負担をもたらす(日々服用の内服薬は共通)
  • プロペシアやフィナステリドは、成人男性向けに限定して使用可能なお薬である
  • 女性や未成年者は触れないように注意すべきであり、治療薬服用者は家族にも伝達した方が良い
  • 前立腺がんの検診を受ける場合には、評価対象項目の血清PSA濃度が低下しているため、お薬服用中であることを伝達すべきである(数値を2倍程度にして評価する必要がある)

「プロペシア錠(≒フィナステリド錠)はこれだけ有名なのだから大丈夫だろう」というのが一般的な判断なのだろうと思います。当サイトとしても基本的にこの立ち位置ではございますが、「PFS(ポストフィナステリドシンドローム)については見逃せない指摘だとも感じます。

「AGA治療薬」として不動の地位を獲得している「プロペシア」や「フィナステリド」のことなので、医療機関としても注意喚起を忘れず慎重に治療に当たっているのが正直なところなのかもしれませんね。

ポストコロナ社会においては、「オンライン診療」でお薬が受け取れる利便性も広がりつつありますが、これにより副作用が軽んじてしまわれないように、個人が警戒レベルを高めて服用に当たるべきだと言えるでしょう。一人でも多くの男性が安心してAGA治療薬を手にできるよう、当記事を役立てていただけますと幸いです。最後までご覧いただき、ありがとうございました。

参考:ORGANON Connectプロペシア錠0.2mg/プロペシア錠1mg添付文書

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