薄毛治療の誤解「まず発毛剤(ミノキシジル配合)」が間違いな理由

ミノキシジル系発毛剤の注意点 AGA全般
AGA全般知識外用薬(塗り薬)
薄毛症状やAGAを気にし始める男性の多くが、CMなどでよく耳にする「ミノキシジル成分配合の外用薬(発毛剤)」を手に取ります。これで安心と予防線を張った気になるわけですが、これには大きな誤りが潜んでいます。CMではちゃんと案内されていないミノキ系発毛剤の重要ポイントについてご紹介します。

ミノキシ系発毛剤は、壮年性脱毛症向けのもの

壮年 そうねん
ミノキシジル成分含有の発毛剤は、第一類医薬品に分類されており、厚生労働省により「髪を生やす発毛効果がある」と評価された一般用医薬品です。ただし、この効能は「壮年性脱毛症患者」が適切にこれを使用した場合に予想されるものです。このため、ほぼ全てのミノキシジル含有の発毛剤(リアップ、スカルプD、ラボモ等々)の添付文書には「壮年性脱毛症向けの発毛剤であること」が明記されています。

壮年性脱毛症(そうねんせいだつもうしょう)とは?

壮年性脱毛症とは、やや曖昧な「壮年(30代~40代くらい)」という年齢層が陥りがちな脱毛症(薄毛症状)に対して名付けられたものです。シニアに差し掛かる前の大人として成熟した働き盛りの年齢層がなんとなく「壮年(そうねん)」というカテゴリーで分類されているのではないでしょうか。

この年齢層の男性は、毎日のルーチーンの中で運動不足や食生活の偏り、人によっては睡眠不足などが常態化しがちで、新陳代謝の衰えなども意識され始めることが多いです。そのような年齢層の男性が陥りやすい薄毛症状を「壮年性脱毛症」と呼んでいたわけですが、これはどちらかと言うと「若年性脱毛症(=若ハゲ)」との棲み分けとして使われていたように感じます。

近頃では「壮年性脱毛症です」という医者からの評価は受けにくく、やや古い呼び名と言っても良いでしょう。ご存知の通り、最近では「男性ホルモンの影響によって緩やかに進行する薄毛症状」を広くAGA(男性型脱毛症)とまとめることが多いです。よって、とある壮年性脱毛症患者に対してAGAと評価するのが妥当な場合も十分にありますが、関係性としてはAGA患者全体の一部分に「壮年性脱毛症」患者や「若年性脱毛症」患者が含まれているという状況です。

つまり、先出しの結論として簡潔に申し上げるなら、「ミノキシジル含有の発毛剤の効能に合致する可能性が高いのは働き盛りの男性(30代~40代くらいの十分成熟した男性)である」というわけです。少なくても20代中頃で少し薄毛が気になり始めた人が「予防処置」としてミノキ系発毛剤を手に取るのは少し違うということになります。

では「なぜミノキ系発毛剤が若者には不向きなのか?」をミノキシジルの効能に沿って考えてみましょう。

ミノキシジルの効能は血管拡張作用

ミノキシジルの作用、効能

ミノキシジルは元々高血圧患者向けの「血圧降下剤」として開発されたものです。血圧が高いということは、血液の流れ道である血管がホースの先端をぎゅっと絞ったように細くなり、血が流れるのに余計な圧がかかっている…ということです(ポンプである心臓に負担がかかるの良くありません)。

ミノキシジル成分には「血管拡張作用」があるので、高血圧の患者さまがミノキシジル成分配合の錠剤を服用すれば、狭くこわばった血管に緩みが生じ血流の改善が期待できます。このように、ミノキシジルは元々血管を拡張させる薬効にフォーカスが当てられていたものなのです。

ミノキシジルの血管拡張作用と薄毛改善の関係性

血管拡張作用」が薄毛改善に効くとされる理由は、頭皮上の毛根は「毛細血管」を通して栄養素を受け取っているから…ということになります。各毛根は血管と直接つながっているわけではありませんが、ごく近い領域に毛細血管が存在しており、毛根はこのような毛細血管を通して栄養素を受け取り毛髪を成長させます。つまり、髪にとって血管(毛細血管)が栄養供給ルートだというわけです。

毛根と毛細血管(栄養供給ルート)

このため、ミノキシジルの薬効で栄養供給ルートを広げてあげれば、血流に滞りが見られる年配者の場合、毛根に栄養が届きやすくなります。血流を改善することで適切に栄養が毛根に流れるようにしてやろう…というのがミノキシジル成分配合の発毛剤というわけです。

ここまで来ると言わんとしていることが伝わるかもしれません。そう、つまりこれは「血流が悪くなったことによって薄毛が促されているようなある程度高齢の薄毛患者でなければ発毛効果など期待できない」ということです。

ある程度成熟した男性で運動習慣も随分と少なくなり、新陳代謝の衰えなどをご自身で意識し始めている。また、頭皮上の毛細血管が痩せ細るような事態も認められ、トータルで加齢症状を背景に薄毛化が進行している…。これがまさに「壮年性脱毛症」です。ミノキシジル系の発毛剤はこのような「壮年性脱毛症」患者向けのものなので、血流の滞りや新陳代謝の衰えなどが認められにくい若者の場合、ミノキ系発毛剤を塗布しても髪に栄養が流れやすくなり発毛力が戻る…といったことは論理的に考えにくいです。

それどころか、無駄に血流を増やし心肺機能に負担がかかる可能性もあります。もちろん、錠剤タイプのミノキシジルタブレットではなく、塗布するタイプの発毛剤なら副作用も限定的ですが…。

CMで「壮年性脱毛症向け」と言われない理由

ヒミツ
ミノキシジル成分配合の発毛剤が「壮年性脱毛症向けであること」を強調しすぎてしまうと、「年配者向けのもの」というイメージが付きやすくなってしまうのかもしれません。こうなると売れ行きに影響してきますよね。CMを打つ側としては一本でも多く売れてほしいわけですから、誤解でも何でも「男性の薄毛にはミノキシジル系発毛剤」という刷り込みが入ってしまった方が良いわけです…。

このため、CMでは壮年性脱毛症向けとはあまり大々的に言わず、添付文書や外箱の方で小さく…しかししっかりと記載する…という戦略に出ています。おそらく記載しないと厚生労働症の承認が下りないのではないでしょうか。色んなケースでそうであるように、大切なことほど小さな文字で目の届きにくい箇所に封印されています(笑)。

一方、医療機関が取り扱う「医療用医薬品(AGA治療薬含め全ての医療用医薬品)」については、薬事法により購買に繋がるような一般人向けの誘引案内が禁止されています。このため、医療用医薬品がCM等で宣伝されることはありません。

このようなことから、本来はプロペシアやフィナステリドなどのAGA治療薬こそ初期の薄毛患者さまに最適なはずなのに、CMや広告戦略が可能な「一般用医薬品」のミノキ系の発毛剤の方が不適切に幅を利かせてしまいます。ここに有名タレントが起用されてくるので、一般の我々は事実を誤認して「最初に誤った選択をしてしまう」ケースが多々あるように感じます。

薄毛外来(クリニック)の医師や関係者などはこのような状態を把握されているのですが、薬事法などの法的な壁があるため、実際にクリニックに訪れた方に対してしか適切な薄毛治療法を案内できないという事情があります。

少なくても20代ならミノキ系発毛剤ではなくAGA治療薬を試すべき!

薄毛を気にする若い男性
「20代男性がミノキシジル成分配合の発毛剤で薄毛予防を計るのは少し不適切…」だと当サイトは考えます。理由については、ミノキシジルは歳を召すことで悪くなってきた血流をミノキシジルの薬効(血管拡張作用)により回復させ、髪が栄養不足に陥りにくくするためのものだからです。

では、まだ若いけど少し抜け毛が増えてきたような気がする場合どうすればいいの?という疑問があるかもしれません。この際は、少し勇気を出して薄毛外来(AGA系のクリニック)を訪ねてみてください。

本来はAGA治療薬こそ先!

薄毛症状が気になり始めたまだ若い患者さまの場合、最初に「プロペシア(もしくはフィナステリドデュタステリド)」を半年程度試してみるのが正解です。過度のストレスや強烈な心的ショックなどで突発的な脱毛が生じたケースでない限り、20代で薄毛症状を感じ始めたのであれば「プロペシア」や「フィナステリド」といったAGA治療薬でおおよそ改善できるはずです。

もちろん、専門医に診てもらい医療機関(クリニック)で処方を受けることこそ重要なので、気になっている男性はよくわからない通販サイトではなく、AGA関連のクリニックを訪ねてみてください。ドラッグストアに行けば薬剤師とのやり取りで簡単に「発毛剤」が手に入る時代ではありますが、ふさ活のスタートとしては「まずAGA治療薬!」だと当サイトは考えます。

近年では「オンライン診療」が普及してきましたので、スマホによる診察から治療薬の発送までが可能です。以前までと比較して随分とAGA治療の敷居が下がってきていますので、躊躇せずに最初からAGA専門医に診てもらうようおススメいたします。

スマホ等によるオンライン診療でのAGA治療ということであれば、当サイト推奨のクリニックフォア(男性)がございます。海外製のフィナステリドの場合、1月分のお薬代が1,760円(税込)にて治療を開始できます。診察料無料キャンペーン中ですので、ぜひ覗いてみてください。

では、次に補足事項としてAGA関連の専門医が提供しているAGA治療薬のポイントについてご紹介していきます。

専門医が処方する主要なAGA治療薬の作用

AGA内服治療薬 プロペシア ザガーロ

プロペシアフィナステリドデュタステリドザガーロと言ったAGA治療薬の薬効は、ずばり「DHT(ジヒドロテストステロン)の産出抑制」です。ジヒドロテストステロンは善玉の男性ホルモンである「テストステロン」が5α還元酵素と結びついたもので、この結合を抑制する働きがフィナステリドやデュタステリド系のAGA治療薬にはあります。

フィナステリド成分の効能…5α還元酵素阻害薬の機能

フィナステリド成分やデュタステリド成分配合のAGA治療薬は、専門的には「5α還元酵素阻害薬」と言われます。これは、男性ホルモンであるテストステロンと5αリダクターゼ(還元酵素)の結びつきを抑制してくれることが医学的に証明されているからです。

薄毛化の公式

AGA患者の薄毛作用の多くは、以下のような公式によって促されます。

テストステロン +  5α還元酵素  -→ DHTの発生DHT(ジヒドロテストステロン)の生成略図

まず、精巣で作られた男性ホルモン「テストステロン」が血流に乗って全身を巡り、この過程で頭皮上の毛細血管にも到達します。頭皮上の前頭部や頭頂部の毛根には、「5αリダクターゼ(還元酵素)」が存在しており、人によってあるいは年齢によって量や活性度が異なっています。これらの状況に応じ、男性ホルモンの「テストステロン」と「5αリダクターゼ(還元酵素)」の結びつきがもたらされやすい人とそうでない人にわかれます。

テストステロン」と「5αリダクターゼ(還元酵素)」が結びついてしまうと、「DHT(ジヒドロテストステロン)」が頭皮上の毛根内部に生成されてしまい、人によってその悪い影響を強く受容してしまうということが起こります。

DHTの影響を受けやすいレセプターを備えているタイプの人の場合については、DHTが増えると発毛サイクルに乱れがもたらされ、育つべき時に育ち切らない毛髪が増えていきます(つまり、抜け毛に回る毛髪が多くなり薄毛化します)。

遺伝的には2つの要因に支配される

遺伝的な要因をまとめると、第一の要因として「5αリダクターゼ(還元酵素)の量や活性度」があり、これによってDHTの生成量が決まります。第二の要因としてDHTの影響を受けやすいかどうかの「男性ホルモン受容体(レセプター)の感度」があり、これが高いと脱毛因子と言われるDHTの影響を受けてしまうということになります。

遺伝要因1.5αリダクターゼ(還元酵素)の量が多く、加齢により活性化しやすい → DHTが量産されやすい
遺伝要因2.男性ホルモン受容体(レセプター)の感度が高い → DHTの影響を吸収しやすい

このようなことから、下図のように「テストステロンと5α還元酵素の結びつき」をブロックし続けることができれば、遺伝的な2つの要因の有無にかかわらず、DHTという薄毛因子の影響を回避しやすくなります。よって、AGA治療薬を日々服用していれば「初期段階であればあるほど薄毛化の問題は高確率で抑止できる」ということになります。

5α還元酵素阻害薬(フィナステリド,デュタステリド)の働き,効能,作用

お薬を飲み続ける限り有効とされるもので、飲むのを止めるとまた薄毛化影響は再発します。また治療開始が遅い場合、毛根の再生可能回数の関係で薄毛化防止効果が実感しにくい場合もあります。ただし、早めに治療をスタートしていれば少なくても現状維持くらいの効果は期待できるとされています。

毛根再生可能回数は決まっている!?

毛根にある細胞はそれぞれ「発毛再生可能回数」が決まっており有限なので、「DHTの影響を受け始めたかも?」と感じた方は早めに専門医による治療をスタートするのが吉です。

ある程度若い男性の場合、あるいはそれなりの年齢に差し掛かっていたとしても、まず最初に手を出すべきなのは「プロペシア」や「フィナステリド」などの医学的に立証されたAGA治療薬です。血管拡張作用のある「ミノキシジル成分」配合の発毛剤は、どちらかと言えば副次的に補うものだと理解されると良いでしょう。というのも、男性の薄毛化の多くは「血流の滞り(栄養供給ルートの断絶)」ではなく、遺伝傾向によってDHTが増えてしまうことで生じているからです。

なお、「毛根の再生可能回数の有限性」については別途コラムを立ててご案内していますので、興味のある方は以下をご覧ください。なぜ薄毛症状に対して早期治療が重要なのかがよくわかると思います。

まとめ

日本全国制覇 薄毛予防 日本中の毛根の保護

当コラムでは、「薄毛対策は発毛剤でスタート!」の誤解を正すべく、適切な情報をまとめさせていただきました。具体的には以下のようなポイントがあったと思います。

ミノキ系発毛剤の注意事項
  • ミノキシジル成分配合の発毛剤は、そもそも「壮年性脱毛症」向けのものである
  • 壮年性脱毛症とは、加齢により頭皮上の血流が悪くなって抜け毛が増えてしまっているものを指す
  • よって、まだ若いのにミノキシジル含有の発毛剤を塗布し始めてもあまり意味がない
  • ミノキシジルには血管拡張作用があるので、血流の滞りがない人が塗布し続けていると心臓に負担をかけたり、むくみが生じやすくなる可能性もある
  • 若くて薄毛症状が気になり始めているのなら、薄毛因子と考えられている「DHT(ジヒドロテストステロン)」が生成されないような処置を早期に講じるべきである
  • 具体的にはプロペシアフィナステリドなどのAGA治療薬を薄毛関連クリニックで処方してもらうと良い
  • AGA治療薬は飲み続けなければならないというデメリットはあるが、薄毛抑制効果は医学的に証明されている
  • 順序としては、まず「プロペシア(あるいはフィナステリド)」、その後に…あるいは処置が遅れた場合に「ミノキシジル系外用薬」とのダブル併用が正解

医師の処方箋に沿って提供される「医療用医薬品」と、「一般用医薬品」にはCM等での案内方法においてルールの違いがあります。「一般用医薬品」の中の「第一類医薬品」に該当する発毛剤は、購入に当たり薬剤師の説明を聞く必要があるものの、CM等での販売促進が可能で、時に誤解を招くような少し曖昧な表現もなされます。

好感度の高い有名タレントが「生える!」と言えば生えそうな気がしてくるのが私たちの弱いところですが、冷静に情報を吟味すれば「自分の場合は壮年性脱毛症向けの発毛剤は合わないかも…」といった具合で、見えてくる景色も変わってくるはずです。当サイトとしては発毛剤の各メーカーさんを敵に回したいわけではありませんが、男性の薄毛なら全て発毛剤で対応できそうな誤解を与えるCMは公平性を欠いていると感じます。正しく情報を整理し、適材適所でうまく治療薬が使われれば…と思っています。

関連性の高いものとして、ミノキシジル系の外用薬に焦点を絞ったコラムもございますので、関心をお持ちの場合はご覧ください。最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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