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髪の三大栄養素とは?
「タンパク質」「亜鉛」「ビタミン」が大事
髪にとって大切な栄養素は「髪の三大栄養素」と言われ、「タンパク質」と「亜鉛」と「ビタミン」が該当します。どちらかと言うと、栄養素については五大栄養素の方を耳にすることが多いと思いますが、毛髪について言うと「タンパク質」と「亜鉛」と「ビタミン」を意識した食生活が求められます。
当記事では、髪の元になる「タンパク質」について取り上げ、「なぜ大切だと考えられているのか?」をご説明します(「亜鉛」と「ビタミン」については、また別の記事で取り上げさせていただきます)。
「タンパク質」のケラチンが髪の主成分
髪は18種のアミノ酸の集合体
髪にとっての重要度 | ![]() |
「髪は、タンパク質の一種ケラチンを主成分としている」という話を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。この言葉を聞いて直ぐに内容が把握できる人もいれば、いまひとつピンと来ない人もいると思います。また、何となく把握できたように思っている人も、実はあまりはっきりわかっていないということも起こります。
タンパク質はアミノ酸20種で再合成して作られる
タンパク質は私たちの肌や筋肉、髪、爪、体内の臓器やホルモン、酵素、免疫物質などを作ります。これは何となくご存じだとは思いますが、「人体に使われるタンパク質が20種類のアミノ酸によって構成されていること」については、把握できている人は少ないと思います。
たった20種類のアミノ酸を材料として、それを全て使ったり数種類を使ったり…、設計図(DNA)に基づいて複雑に組み合わせていきます。割合なども変えながら結合していくことで、最終的に人体に必要な種々のタンパク質が形成されます。出来上がるタンパク質の数については、何と10万種類にも及ぶと言われており、これがたった20種類のアミノ酸の配列パターンなどで作り上げられていることは驚くべき事実です。
人体の6割は水分なので「私たちそのものがタンパク質だ」とは言えませんが、それでも15%から20%程度をタンパク質が占めると言われています。よって、「水分を抜きにして考えた場合、私たちの身体の半分近くは20種類のアミノ酸でできている」と表現することも可能です。
髪の場合は、18種のアミノ酸が結合した「ケラチン」が主成分
端的に言うと、「タンパク質は小さなアミノ酸の集合体」です。そして毛髪について言えば、「ケラチン」と呼ばれるタンパク質が主成分となっており、図の分子構造のような「18種類のアミノ酸」が再合成されて作られています(毛髪の大部分はケラチンですが、その他のものとして水分が約10%、脂質とメラニンで5%程度あります)。
「再合成」と表現するのは、食品から摂取されたタンパク質がまず消化器官で分解され、一旦小さなアミノ酸の単位になって小腸で吸収される過程があるからです。つまり、摂り入れた食物からタンパク質を分解して種々のアミノ酸を吸収し、再び必要とされるタンパク質の設計図に沿って再合成しているというわけです(髪の場合であれば、ケラチンというタンパク質をつくるので、その材料となる18種類のアミノ酸を集めてきて再合成しているということになります)。
髪のタンパク質「ケラチン」の構成要素(18種類のアミノ酸)
ケラチンを構成する「18種類のアミノ酸」とその含有比(%)はこちらになります。
18種類のアミノ酸 | 3文字記号 | ケラチン内の含有量 |
---|---|---|
シスチン | Cys | 17.2% |
グルタミン酸 | Glu | 13.8% |
アルギニン | Arg | 9.1% |
スレオニン(トレオニン) | Thr | 7.6% |
セリン | Ser | 6.9% |
プロリン | Pro | 6.7% |
ロイシン | Leu | 6.5% |
バリン | Val | 5.6% |
アスパラギン酸 | Asp | 4.9% |
イソロイシン | Ile | 4.8% |
グリシン | Gly | 4.1% |
アラニン | Ala | 2.8% |
フェニルアラニン | Phe | 2.5% |
リジン | Lys | 2.5% |
チロシン | Tyr | 2.4% |
ヒスチジン(レスチジン) | His | 0.9% |
メチオニン | Met | 0.9% |
トリプトファン | Trp | 0.8% |
「毛髪を構成するアミノ酸」を含有量の多いものから順に並べています。アミノ酸は食物から摂り込まなければ体内で合成することができない「必須アミノ酸(9種)」と、体内で他のアミノ酸や中間代謝物から合成することが可能な「非必須アミノ酸(11種)」に分けられ、表や画像の中では体内のみで合成できない「必須アミノ酸(9種)」を色付けして表示しています。
このように案内すると、「必須アミノ酸」に目が行きがちですが、無色の「非必須アミノ酸」だからと言って有り余っているわけではなく、体内で合成できても他に様々な役割や働きがあります。
このため、「この必須アミノ酸を不足させないためにこの食品を…」というピンポイント攻撃はあまりおススメいたしません。むしろ、ここで意識されたいのは「髪は18種のアミノ酸の集合体(ケラチン)である」という点であり、「このようにたくさんあるアミノ酸は、タンパク質を多く含む食品を摂取することでうまく充足していくものだ」という点です。
タンパク質の摂り方
さて、「タンパク質を摂る」という場合、皆さまはどのような食材をイメージされるでしょうか。筋トレをされている方や、英語に強い方だとプロテインという単語がタンパク質を意味することをご存知でしょうし、「タンパク質=肉」というイメージをお持ちだと思います。
事実、肉、魚、卵、大豆、乳製品には多くのタンパク質が含まれています。これらを偏りなく摂取していると、前述のような「必須アミノ酸」も「非必須アミノ酸」も概ね過不足なく整っていきます。極端な好き嫌いや食事制限(ダイエット)をしていなければ、肉、魚、卵、大豆、乳製品はある程度分散される形で食卓に並ぶはずですので、更に小さな単位の個別のアミノ酸を狙い撃ちする必要までは感じません。
18種類のアミノ酸一つひとつを意識してタンパク質を選んでいられるほど、誰しも日々暇ではないでしょうし、初めはそれを意識できていてもおそらく長続きはしませんよね。また、狙い撃ちによりかえって他で偏りが出てしまう可能性も考えられます。よって、月並みではありますが、タンパク質については、肉、魚、卵、大豆、乳製品などをバランスよく摂ることを意識するのが合理的だと、当サイトでは考えています。
とは言え、「髪を構成するアミノ酸の集合体がタンパク質であること」は間違いのないところです。よって、「タンパク質は、髪にとって譲れないくらい大切であること」に疑いの余地はありません。ただ、日常生活では普通に食事していればある程度整うものなので、その意味で髪にとっての重要度(スターランク)は「4.5」に設定しています。
タンパク質に関するまとめ
ダイエットはほどほどに
当コラムでは、髪を「ケラチン」というタンパク質として捉え、そのケラチンを構成するアミノ酸についてご紹介させていただきました。必須アミノ酸や非必須アミノ酸の配合比などもご紹介させていただきましたが、この割合については日常生活で特に意識していただく必要まではございません。
ただ、このような種々の「アミノ酸」を再合成する形で私たちは髪を作り上げており、「そのタンパク質の元になるものは食物である」という点が大切です。無理なダイエットをしていると、身体のあちこちで必要なタンパク質不足に至る可能性もありますので、この点についてはご注意ください。そして、タンパク質を摂る際は、肉、魚、卵、大豆、乳製品などをバランスよく整えるように意識していただければと思います。
では、改めてポイントだけ整理しておきます。
- 髪の三大栄養素の一つに「タンパク質」がある
- タンパク質とは小さなアミノ酸を複数組み合わせたものである
- 髪について言えば、18種類のアミノ酸を再合成した「ケラチン」というタンパク質が主体になっている
- タンパク質を含む食品をバランスよく摂取すると、その構成要素の各アミノ酸を摂り込むことができる
- アミノ酸には食品から摂取しなければ体内で合成できない「必須アミノ酸」と、体内で合成可能な「非必須アミノ酸」がある
- 非必須アミノ酸にも色々な役割があるので、「必須アミノ酸」「非必須アミノ酸」いずれに関わらず食品から確保することを考えた方が良い
- 肉、魚、卵、大豆、乳製品などには豊富なタンパク質が含まれるので、これらを偏りなく食卓に並べていると、人体に必要なアミノ酸は充足していく(髪に必要な18種類のアミノ酸も整っていく)
最後までご覧いただき、ありがとうございました。